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更新情報やら拍手のお返事やら。 本腰入れてメイルカとリンミクを愛でる! 某歌劇団89期生には真心込めた愛を贈る! 百合ん百合んな日常と愛を綴る
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過去の産物第二弾です

なんか、どん暗いです
このときの私病んでたのかしらん…

たぶん、この二人はどちらも友人がモデルだと思われます

どん暗いです←


墓と墓の間を造花を持って歩く。
ただでさえ足場の悪い田舎の墓地。
今の時期は地面が凍っていてさらに危ない。
重いバケツを持つむき出しの手、吹き荒む風が冷たいを通り越して痛い。
足なんか、とっくの昔に感覚が消えた。
足用カイロもここまで寒いと無力だ。
せっかく用心してブーツはいてきたのに。
 
アネモネ。華やかな花。
こんな冬景色の中、私の持つ造花だけが鮮やかな色彩を放つ。
「はぁぁぁぁ、なんでこんな時期に死ぬのよ、あんたは」
誰もいない墓地、すっと私の声が消えていった。
 
彼女がこの世を去った今、年齢を重ねていくのは私だけ。
これから先、彼女と私の年齢差はひらいていくばかりだ。
彼女はいまだ20代、私は今年で30になる。
親もそろそろ結婚やら何やらうるさくなってきた。
でもごめんね、お父さんお母さん、孫の顔見せてあげたいのは山々なんだけど。
私だって自分の生活を安定させたい気持ちはある。
あることはあるのだが、生憎、私は男に触れない。
ならば同性でも好きな人はいるのか、と問われれば少し返答に迷う。
さすがに死んでしまった女の子が、同棲していた彼女がまだ好きです、とは言いにくい。
亡くなったのが1、2年前ならまだしも、私の場合はすでに5、6年たっている。
いまだに、彼女と暮らしていた部屋に住み、新しい恋も出来ないままずるずる、彼女が好き。
「っと、着いたぁ」
彼女の骨の上に置かれた石には、霜がびっしりついて大変なことになっていた。
とりあえず、字の部分だけでも霜を払う。
ざっと見た感じ、まだ誰かがきた様子はない。
変色と劣化で、見た目がよろしくないことにっている造花を、新しく持ってきた造花に差し替える。
アネモネの造花ってなかなかなくて、探すの大変なんだよ、とか思いながら墓に手を合わせる。
―――――…ねぇあたしが死んだらさぁ、お墓に供える花は造花でよろしくね。
へらへら笑いながら彼女が言うから、私は言われたとおり造花を持ってくる。
―――――…花[ホンモノ]は枯れちゃうけどさ、造花[ツクリモノ]だったら枯れないでずっとキレイなまんまじゃん。
有終の美って言葉があるよと反論すると彼女はたいてい、難しい言葉はワカリマセェンとかいって逃げた。
本当は、私なんかよりずっと頭いいくせに。いつもバカなふりして。
「死ぬなら、もっと過ごしやすい季節にしてよね。春とか秋とかさ」
勉強だってやればできるのに、学生時代彼女はまったくもって、勉強をしようとしなかった。
―――――…勉強しなきゃ入れない学校なんて行かない。今のあたしをありのまま受け入れてくれる学校にいく。
きっとバカじゃなくてアホだったんだ。
うん、きっとそうだ。
「つか寒いよ。もう…なんでこの季節かなぁ」
でも、知ってた。
私は、彼女が何も考えていないように見えて色んなこと考えてるのを知ってた。
「私が寒さに弱いの知ってるくせに」
たまに話してくれる、彼女の考えたこと。
難しすぎて分からないこともたくさんあったけど、何を考えているのかわからない彼女に、少しでも近づけた気がして嬉しかった。
「ていうか…死ぬなよ」
彼女がやさしいことも知ってた。
―――――…お前は優しすぎるんだよ。あんまり優しすぎると傷つくのはお前だよ。…あたしは知らんからね。
人に無関心なように見えて、誰よりも人のことをまっすぐ見てる。
いつも、へらへらしてるけど、本当は誰よりも誰よりもやさしい顔できるの、私は知ってたよ。
「あんたはずっと麗しの20代。私なんてもう、ミソジだよ…」
そういえば私、彼女が死んだことでほとんど泣いてないんだよなぁ。
泣いたのは彼女が動かなくなった日と、彼女が煙になった日だけ。
―――――…なんかさぁ、だめだわ。お前は泣いちゃだめだよ。あたしどうしていいか分かんなくなっちゃう。
体が泣こうとしても、鼻の奥がやけにつんと痛くなっても、必死でこらえた。
「お肌の手入れとかも大変だよ。…手抜きして目覚めたひにゃぁ…ははは死んでるよ。」
どうしていいか分かんなくなるとか…
彼女があんなこと言った所為もあるけど。
私はきっと泣きたくなかったんだ。
涙なんかで飾りたくなかったんだ。
悲しいものにしたくなかったんだ、私たちの日常を。
それに泣いたりしたら…
「死ぬなよ…バカ。おいてくなよ…バカ」
泣いたりしたら…きっと
「あぁ、でも一人は楽だよ。あの部屋、一人だと広くてさぁ、案外使い勝手いいよ。料理も一人前で済むしね」
すべてが過ぎ去った今でも、素直になれない私を許して。
だって泣いたりしたら、あんたに会いたくなっちゃうじゃん。
小さいからだいっぱいにひろげて
―――――…おかえり…。
抱きしめてくれた腕にすがりたくなるじゃん。
「寂しくなんてないよ。別に、あんたがいなくても寂しくない。ただ、ちょっと物足りないかなってだけで…」
合わせた手と手、指の先からあなたへ届くように。
寂しいよ。あんたのいない部屋は寂しいよ。広すぎるもん。
「あぁ、寒い。帰るよ、手とかもう死んじゃう。」
泣けないよ。泣きたくないんだよ。
泣いたら、あんたを好きな気持ち全部が溢れ出そうで怖いんだよ。
30歳にもなって私は…。
「また来るよ。ふふ、寂しくても泣いちゃだめだよ。」
冬景色の中、華やかなアネモネの花が、鮮やかな色彩を放つ。
アネモネ。華やかな花。
こんなに、鮮やかで光り輝く花なのに、そのうちに秘めるのは、はかない恋心。
アネモネ。鮮やかで華やかで、君が好きだった花。
あぁ、だめだなぁ私は。
何年たっても、いくつになっても、やっぱりあんたじゃなきゃダメみたい。
―――――…おかえり…。
 
 



このモデルにしていただいた二人…どちらも後輩…
最近、私と彼女たちどちらが年上かわからなくなってきました…

ご、ごめん…勝手に殺してた…←
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